ミスター復帰、その報道感じる薄気味悪さ。

 いやあ、復帰しましたね、ミスターが。って、最初に書くコラムでこんな始め方もどうかと思うんだが、とりあえずミスターは復帰したのである。日本テレビ、舞い上がってたなあ。だって、試合なんてもうどうでもいいって感じなんだもん。まあ実際に試合は負けたし(あの試合は何が何でも勝たなければいけない試合だと思うんだが、その試合で負けてしまうんだなあ)、視聴率もずっとミスターを映し続けたからかどうかは分からないけど少しは上がったそうなので、その判断は賢明だったのだが。
 いや、ミスターが復帰して東京ドームに来られるまで元気になったのはそれでいい。脳梗塞という病気がどんなものなのか私はなった事が無いので分からない。しかし、聞くところによるとミスターの回復ぶりは驚異的らしいし、リハビリにも毎日4〜5時間精力的に取り組んでいるそうだ。それはいいのだ。しかし、復帰翌日に放送された「スーパーテレビ」は凄かったなあ。もうミスターがここまで良くなったのは全部息子の一茂がいたからだ、と言わんばかりの内容で何か背筋がゾクゾクとしてしまった。奥さんや他にも子供(三奈もいるし、レーサーをやってる息子もいたはず)もいるだろうに。確かに一茂は父親に常に付き添って助けてきたかもしれないけど、全部が全部一茂のおかげ、のような言い方をしているのだ。もしかしたら日本テレビ、というか読売グループは将来一茂をジャイアンツの監督の座に据えようとしているのでは無いか、そう邪推すらしてしまった。今のジャイアンツなら有り得なくないような気がするから怖い。
 で、途中から予想通り「大の長嶋ファン」の徳光が出てきたんだが、これがまたキツかったなあ。東京ドームに出向いてモニターでミスターが登場するシーンを観戦しているんだが、出てきた瞬間号泣。顔をクシャクシャにして涙を流す、のだが涙が出ていないんだ。じゃあ泣くフリなんかするなよ、と思うのだが、まあ仕事だから仕方ないんだろうなあ。
 私はミスターの現役時代を知らないから、どんな選手だったのかは全く知らない。しかし、私より上の世代の人間はミスターを神格化して、その神格化したミスターの存在を自分たちの下の世代にも受け継ぐよう強要しているのである。だって、どう考えてもミスターに思い入れも何も無いであろう平山あやにミスター復帰についてのインタビューなんかしてるんだもの。芸能人はもちろん、国民全員がミスターの復帰を楽しみにしていた、と堂々と報道するその薄気味悪さ。ミスターに恨みは無いのだがついつい感じてしまった。正味の話、その報道って洗脳教育そのものだろう。もうゆっくり休ませてやれよ、と思うんだが。まあ、そんな事をここでグチグチと言っていても、マスコミはこれからもミスターをネタに使い続けるんだろうけど。
 あ、でもプリティ長嶋が貴賓席に姿を現したミスターを見て号泣する姿はなかなかよかったな。プリティは1年半もの間、活動を休んでたんだって。アテネオリンピックに行ってたような気がするんだけど、それはプライベートで、って事なのかなあ。昔の映像なんかを見ると本当に似てるんだ、プリティ。ぜひ神奈月の新庄に負けずにどんどんとテレビに出てきてほしいものである。